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2013. 04. 20  
待望のジミー・ペイジ伝がようやく発売された。
ツェッペリン関係の本はこれまでもバイオグラフィーや写真集などさまざまなものが出版されてきたが、ジミー・ペイジ本人に関してここまで掘り下げたものを知らない。

ペイジの生い立ちから少年時代、セッションギタリスト、ヤードバーズ、ツェッペリン、ソロ、ツェッペリン再結成までの各時代がバイオグラフィーとインタビューで構成されている。

50時間以上にも及ぶインタビューでは、音楽の趣味、ギターや機材へのこだわり、レコーディングの秘話やツアーの裏話はもとよりペイジのオカルト趣味まで深く入り込んでいるが、これも20年にもわたる著者とペイジとの信頼関係によって初めて可能となったものだろう。

また、10代からの親友同士であるジェフ・ベックとペイジの対談も収められていて、ヤードバーズ出身の3人のギタリストがロンドン南西部のほんの20キロの範囲内で育ったこと、クラプトンの後任を引き受けたときのベックの心情など、興味深い話が満載だ。

そのほか、エルヴィス・プレスリーとの会見やジョージ・ハリスンの言葉がきっかけとなって作られた曲の話など、初めて聞くようなエピソードがちりばめられ、頁のいたるところに愉しみを見つけることができる。

ほんの少しだが結婚生活や家族についての記述もあり、謎に包まれていたプライベートも垣間見える。

3大ギタリストの中でもジミー・ペイジの印象は他の2人と比べると薄い。
それはペイジが「ギター片手に真剣勝負」のギタリストではなく、コンポーザー、アレンジャー、プロデューサーといういくつもの顔を持ち、あくまでもバンド全体のサウンドを第一に考えるクリエイターだからではないだろうか。

腕のたつギター少年がそのままプロになったというものではなく、セッション・ギタリストとして基礎をしっかり積み、ヤードバーズでのバンド経験を生かして、時代をしっかりとらえて、レッド・ツェッペリンという大きなプロジェクトを成功させたこと、この点が他のギタリストとの決定的な違いだろう。

アリーナ・コンサート、ファッション、ギターを腰まで下げて弾く演奏スタイルなど、今日では当たり前となっていることのすべてがツェッペリンから始まっていることを改めて認識する

ただ、『奇跡~ジミー・ペイジ自伝』という安直なタイトルはいただけない。
原題の LIGHT AND SHADE(= 光と影)がよかったのでは。



jimmy page
『奇跡~ジミー・ペイジ自伝』 ブラッド・トリンスキー著 
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2012. 06. 02  
このところ毎晩寝る前に読んでいる本がある。

『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』は、不世出の柔道家木村政彦の数奇な人生を、柔道の経験を持つ作家増田俊也が緻密な取材を重ねて書き下ろしたノンフィクションである。
厚さ5㎝にもなろうかという大冊だが、その厚さがありがたいほど読み始めたら止まらない魅力がこの本にはある。

木村政彦の名前は聞いたことがあったが、それは力道山にあっけなく倒された柔道家という、著者が言うところのステレオタイプの認識だけだった。
しかし、この本を読み進めるうちに、たとえ相手が力道山であっても絶対に負けるはずはないという確信を持たざる得ないほどの強靱なパワーと技量と精神力を持った類い希な柔道家であったことがわかる。

木村政彦を知る関係者が口を揃えて語るのは、「ヘーシンクもルスカも山下泰裕も木村政彦にはかなわない」ということである。
亡くなった伯父が昔「木村政彦は本当に強かった。」と言っていたことを思い出したがあの話は本当だったのだ。

一日9時間を超える練習量、師である牛島辰熊との殺し合いのような壮絶な乱取りの毎日、「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし」と謳われた史上最強の柔道家が造られていく過程を、著者は数々の超人的なエピソードを交えながら克明に描いている。

柔道の原点である古流柔術はもともと当て身(パンチや蹴り)もありの総合格闘技であり、創始者嘉納治五郎が創り上げようとした柔道もまた街中での実戦をイメージした極めて護身性の高い武術であったが、それが柔道のスポーツ化によってだんだんと形骸化していった結果、現代の柔道はまったく違ったものになっているのだという。

木村政彦はその古流柔術の流れをくむ何でもありの真剣勝負の柔道で15年不敗を誇った。

では、木村政彦はなぜ力道山に敗れたのか。

なぜ力道山を殺さなかったのか。



木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか

増田俊也ブログ

2012. 04. 01  
昨年秋に40年ぶりにタイガースのメンバーとして復帰したピーこと瞳みのるが書き下ろした自伝。

元メンバーが自分に向けて書いた曲『ロング・グッバイ』を聴いたのをきっかけに昔の仲間たちと再会する決心をしたことに始まり、生い立ち、少年時代、タイガース時代、教師生活、中国との関わり、料理など多岐にわたっており、好奇心旺盛で生真面目な著者の人柄が溢れている。

タイガースのファンではなかったが、NHKテレビのの『SONGS』を観て以来、瞳みのるという人物のことがずっと気にかかっていた。
一人ショー・ビジネスから遠ざかっていた男がメンバーの中で一番若々しかったのはなぜか、なぜ解散以来メンバーと一切連絡を絶っていたのか、なぜタイガースとはまったくかけ離れた教師の道を志したのか。

裕福な家に生まれながらも、家業が倒産してからは小学生の頃からアルバイトをして生計を立て、働きながら高校まで卒業した。
そういう大変なときも、クラスメイトと語り遊んだ学校が楽しかったという。
アイドル時代にあってもしっかりと現実を見つめ、解散前の1年間で1千万を貯めて後の学業開始に備えた。

タイガース解散コンサートが終わった夜にトラックに家財道具を積み、高速を飛ばして京都に帰った。
それからはショービジネス界ときっぱりと断絶し教師を目指してひたすら勉学に励んだ。

慶應義塾大学に合格し、大学院まで進学、その後慶應高校での30年あまりの教師生活を経て、現在は中国と日本を行き来しながら京劇と日舞のコラボレーションや明治期の文部省唱歌の研究をしているという。

タイガース解散の真実やメンバーの素顔についてはもちろん興味が惹かれるが、小説家柴田錬三郎との交友や中国での生活、教師時代のエピソードもユーモアを交えていて面白い。

タイガースと教師という二つの人生を生き、二度の大病から生還したピー。
これからは団塊の世代の人に元気を返すのだという。

精悍さが漂う佇まいと知性が垣間見える落ち着いた話しぶりには、彼がこれまで生きてきた人生のすべてが映されているのだと感じた。


ロング・グッバイのあとで
瞳みのる official site

沢田研二LIVE 2011~2012 ツアー・ファイナル 日本武道館 01
沢田研二LIVE 2011~2012 ツアー・ファイナル 日本武道館 02
沢田研二LIVE 2011~2012 ツアー・ファイナル 日本武道館 03

2009. 11. 17  
タイトルのとおり、1968年のデビューから2007年の再結成までのレッド・ツェッペリンの軌跡を綴った豪華本である。

バンド・ヒストリー、ツアー・スケジュール、アルバムの解説、メンバーやスタッフへのインタビューのほか、雑誌編集者やフォトグラファー、ミュージシャンたちのコメントなど、あらゆるものがこの1冊に詰め込まれている。

写真もステージはもちろんのこと、移動中やレコーディングセッションなどの珍しいものやツアーパンフ、ポスター、コンサートチケットが随所にちりばめられ見ているだけでも十分楽しめる。

ツェッペリンに関する書籍はこれまでも数多く出版されているが、ファンなら誰でも知っているような使い回しの記事がほとんどだった。
だが、この本にはコアなファンでも初めて聞くようなエピソードやコメントが満載されており、ページのいたるところに楽しみを見つけることができる。

ツアーマネージャーのリチャード・コールは悪名高きツアーでの乱行の数々を暴露しているし、伝説的なグルーピー、パメラ・デ・バレスの日記は華やかなロックスターの人生の裏側を垣間見せてくれる。

ミュージシャンたちのコメントも興味深い。
ハートのアンとナンシーの姉妹は、少女時代に受けたインパクトの強さを回想し、自分たちの音楽を作り上げるのにツェッペリンの影響がいかに大きかったかを最大の讃辞をもって語っている。

「前座でツェッペリンを食ってしまった」というのが歌い文句だったグランド・ファンク・レイルロードのドン・ブリュワーは、ボンゾ(ジョン・ボーナム)のドラミングを的確な分析をしながらリスペクトしている。

ほかにもピーター・フランプトン、エース・フレーリー、ジョー・ペリーなど、多くのミュージシャンが登場するが、どのコメントにもツェッペリンに対する並々ならぬ尊敬の念が感じられる。

大判でずしりと重いわりに価格がリーズナブルなところも嬉しい。



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(ジョン・ブリーム著 上西園誠訳 ソフトバンク・クリエイティブ)
2008. 10. 13  
以前紹介したパティ・ボイドの自叙伝の翻訳版がようやく出版された。

ケニアで過ごした少女時代、モデル時代、ジョージとの出会い、結婚、ビートルズの妻としての生活、離婚、エリック・クラプトンとの結婚生活、アルコール依存症の夫を持つ妻の苦しみ、クラプトンとの破局など、まさに波瀾万丈の人生だ。

ビートルズのメンバーの妻として体験した毎日はとてつもなくセレブではあったが、同時に、常にマスコミとファンに追いかけ回されるという窮屈なものであった。特にファンに対する恐怖心は、そのまっただ中にいた者にしかわからないものだろう。

叶わぬ恋とわかっていても何度もアプローチしてくるクラプトン、妻と親友がただならぬ関係と知った時のジョージの反応、一人の女性をめぐってのギターでの決闘、まるでTVドラマのようだ。

ロック・スターに酒とドラッグと女はつきものだ。
クラプトンのドラッグ中毒とアルコール依存症、それに浮気はよく知られた話である。
だが、精神世界に深く傾倒しFAB4の中でも控えめで聖人君子のようなイメージがあったジョージも、一方では数々の女性との情事を繰り返していたという。

ジョージがリンゴ・スターの最初の妻モーリンと関係を持ったという噂は以前に聞いたことがあったが、まさか本当のことだったとは。

両親の離婚と義父によるDVを幼い頃に体験した彼女は、人一倍仲むつまじい夫婦生活と暖かい家庭に憧れていたにちがいないが、結局、夫によるDVと二度の離婚を経験することになったのは皮肉な話である。

ただ、そういった事柄だけをあげつらえば単なる暴露本で終わったであろうし、ビートルズやクラプトンのファンをがっかりさせたかも知れないが、兄のようなジョージの優しさ、クラプトンのひたむきさがわかるエピソードにも多くの頁が割かれており、彼女がいまだに二人に対して深い愛情を抱き続けていることに救われる。

ミック・ジャガー、ロン・ウッド、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ、エルヴィス、スティービー・ワンダーなど、世界のトップスターの妻でなければ決して出会うことのない人間達とのさまざまなエピソードも盛り沢山で面白い。

音楽や映画、アート、ファッションなどあらゆる若者文化が花開いた60年代のロンドンの空気が活き活きとして伝わってくるのは、『ヴォーグ』や『エル』などの表紙を飾りトップモデルとして活躍した彼女だからこそだろう。

エリック・クラプトンの自伝と併せて読めば、それぞれの立場からの見方、考え方の違いがわかって興味深い。


ワンダフル・トゥデイ
(パティ・ボイド・ペニー・ジュノー著 前 むつみ訳 シンコーミュージック・エンタティメント)

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