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2015. 05. 23  
''Beatles For Sale'' は傑作ぞろいのビートルズのアルバムの中ではあまり人気がない。

アメリカ初上陸に始まり、ツアーと映画製作に明け暮れた1964年の12月にクリスマス商戦を狙ってリリースされたこのアルバムは、作曲に十分な時間が取れなかったため、全14曲中オリジナルは8曲、あとはカヴァーという内容。
全曲オリジナルで揃えられた前作''A Hard Day's Night'' と比べれば旗色が悪いのは仕方がないのかもしれない。

加えて、ビートルズらしいセンスのかけらも感じられない「売り出し中」というチープなタイトルも急場しのぎであわただしく制作されたことを自ら物語っているようにも思える。

それでも、''Beatles For Sale ''はマイ・フェイバリット・アルバムだ。
いきなりヴォーカルで始まる' No Reply' から 'Baby's In Black' までの流れは何度聴いても素晴らしく、ジョンの寂しさを湛えたメロディラインと内省的な歌詞は、沈んだ雰囲気のカヴァー写真とも相まってアルバム全体に統一感をもたらしている。

ジョンはチャック・ベリー、ポールはリトル・リチャード、ジョージはカール・パーキンスと、それぞれのアイドルのカヴァーはいずれも1~2テイクで収録完了となっており、そのライブ感は圧巻だ。

また、ジョンが歌う 'Mr.Moonlight' のインパクトの強さは、ドクター・フィールグッド&インターンズのオリジナルをはるかに凌いでおり、'Twist&Shout' と並んでビートルズのオリジナルと勘違いされている曲である。

以前に書いたが、ポールの残念な曲が2曲収録されているのもこのアルバムだ。
'Every Little Thing' と 'What You're Doing' はいろんな趣向を凝らしていて個人的には大好きな曲だが、何故ここまで評価が低いのか理解できない。

そして、大のお気に入りが 'I Don't Want To Spoil The Party' 。
カントリータッチのこの小曲は、恋人がパーティに来ないことにがっかりして帰る男を歌った「いつものジョンの強がり」の曲である。

アコースティック・ギターとエレクトリック・ギターのイントロ、ジョンのリード・ヴォーカルとポールのハモリ、ポールとジョージのバック・コーラス、チェット・アトキンス風のギターソロ、アコースティック・ギターとエレクトリック・ギターのアウトロと、ビートルズの美味しいところがこれだけ詰め込まれた曲も珍しい。

ロカビリー色の強いこのアルバムには、やはりグレッチがよく似合う。
だから、''Beatles For Sale'' の曲を演奏するときはなるだけグレッチを使うようにしている。

ジョンとポールはわからないが、少なくともジョージはこのアルバム制作を楽しんだに違いないと思っている。


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The Beatles - "I Don't Want To Spoil The Party" Stereo Remaster




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2015. 05. 08  
言わずとしれたボブ・ディランを代表するナンバー、数あるロックの名曲の中でもその革新性と影響力において極めて重要な曲の一つとされ、アメリカのローリングストーン誌のオールタイム・グレイテスト・ソング500では見事一位を獲得している。

発表された1965年当時、シングルとしては異例の6分を超える長さにもかかわらず、9月には全米チャートの2位まで上昇した。
「ヘイ・ジュード」が発表されたのは3年後の1968年だから、シングル曲の長さでもディランはビートルズのずっと先を行っていたことになる。

抑揚のないメロディに字余りな歌詞と投げやりな歌唱、最初に聴いた印象は「何でこんな曲がヒット・シングル?」だろう。
しかし、聴き込んでいくうちにこれが頭から離れなくなり中毒のように何度も繰り返し聴いてしまうのだ。
 
アル・クーパーの特徴的なオルガンのフレーズに乗って、次から次へと突き刺すような言葉が吐き出され、リフレイン ''How does it feel, how does it feel? To be on your own, with no direction home A complete unknown, like a rolling stone'' へと回帰するときには爽快感さえ覚える。

単純な歌詞と明快なメロディを持ったラブソングといった、それまでのポピュラーソングの常識をこの曲は打ち壊し、ロック・ミュージックにストーリーと思想性を持ち込んだ。
メインテーマとサビは単調なものだが、それに乗っかってくる詩は韻は踏んでいるものの、決して簡単に口ずさめるものではない。

後にローリング・ストーンズもカヴァーしたが、自由奔放なミック・ジャガーもオリジナルと同じ譜割の歌いまわしだ。
ディランのあの譜割りでないと、この歌が持っている刃のような鋭さは現れてこない。

だが、歌われている詩に関していえば、ディランには珍しく極めて平易な内容だ。
端的に言えば「盛者必衰」なのだろうが、もちろんディランのことだから、別に意味があるのかも知れない。
それでも「何もない。あのまんまだよ。」ととぼけるのかも知れない。

それにしても、当時のディランのカッコよさは半端ではない。
エレクトリック・ギターに持ち替えたことからフォーク純粋主義者の大ブーイングを浴びながらも取りつかれたように演奏を続けるディランの姿からは、かつてのシド・バレットのような美しささえ漂ってくる。

ジョージ・ハリスンは「ビートルズよりもディランのやったことのほうが偉大だろ。」と語ったが、それは謙遜でも何でもなく本心なのだと思う。

 
 昔、羽振りのよかった頃、あんたは着飾って
 浮浪者に10セント投げつけてやってたね。そうだろう?
 みんな「気をつけな、そのうち落ちぶれるよ。」と言ってたけど、
 あんたは冗談だと思ってた。
 うろついているみんなを笑い飛ばしていた。
 でも今のあんたは大きな声で話さない。
 次の飯にありつくのに精いっぱいで威厳のかけらもない。

 どんな気分だい?独りぼっちになった気分は? 
 誰も知らないってことは?
 転がる石のように生きるってことは?



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※ディランのライブ映像を楽しみたい方は画面左のチャンネルで「121 Music 1 Classics」選択してください。
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